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香り高きレイを贈る
香り高きレイを贈る
愛情・歓迎・祝福の気持ちを分かち合うために贈るレイ
ロコの間では、誕生日や卒業式などの記念日や行事の際に贈られることの多い「レイ」ですが、本来は「魔除けや開運」の目的で、身に付けられていたと言われています。古代の人々は、動物の歯や骨、貝、植物など自然物でレイを作り、自然を通してマナ(霊力)を身体に呼び込もうとしました。今でも信心深い高齢者のなかには、身体を浄化すると言われる「ティ」の葉で作ったレイを「お守り」として日常的に身に付けている人もいるようです。現在では魔除けというよりも、歓迎や祝福・愛情=「アロハの精神」を象徴するものとして、広く親しまれていますが、「自然に敬意を払い、その恩恵に感謝する」という基本的なスピリットは、今も変わりがありません。
レイの素材&作り方はさまざまで、それぞれが深い意味を持っている
ひとくちにレイと言ってもさまざまな種類のものが存在します。動物の歯や貝殻、種子、象牙などを使った保存可能なレイもあれば、草花で作られた一時的に身に付けるためのレイもあります。さらに植物を使ったレイは、作り方によってもいくつかのタイプに分かれています。糸を通して繋げたものを「クイ」、ひねって(ツイスト)作るものを「ウィリ」、一種類の植物を編み込んで作るものを「ヒリ」などといいます。花だけでなく木の実を使ったレイもあります。また、頭にのせるレイで何種かの花や茎を使ったものを「ハク」と呼んで区別しています。使われている植物や花にもそれぞれ意味があり、TPOに合わせて身に付けたり、相手に贈るのが習慣となっています。
(写真左)小さな貝を使ったレイ
(写真右)黒いのがククイの実
見た目の美しさ、華やかさだけでなく「香り」も重要視される?
見た目の美しさはもちろんのこと、草花を使ったレイにおいては「香りの豊かさ」も重要なポイントとされています。今でいう「アロマテラピー」のようなもの、とでもいったらいいでしょうか。花の芳醇な香りには、心を癒したり、人を幸せな気分にさせるヒーリング効果があるようです。そんな理由からか、見かけは色鮮やかで華やかなのに、ハイビスカス、ブーゲンビリア、カエンボクなど、香りの少ない花はレイに使われることはあまりありません。逆に香りのいい花として、ピカケ、チューブローズ、プア・ケニケニ、プルメリア、オーキッドなどが、レイの素材として人気が高いようです。
香り高い花がレイによく用いられます。
(写真左)プルメリア
(写真右)オーキッド
フラに欠かせないレイとその仲間たち
植物にもマナが宿ると考えた古代ハワイアンは、神聖な踊りであるフラを踊る際に必ずといっていいほどレイを身に付けます。レイにあわせてヘアバンドやブレスレットを身に付けることも多く、とくにヘアバンドは「ハク」または「ハクレイ」と呼ばれています。使われる素材もほぼレイと同じですが、シダの葉などもよく用いられます。そのほか、髪にさすヘアクリップやピンなどアクセサリーの種類も豊富で、いずれも花や葉、木の実などを使うことで自然崇拝の気持ちをあらわすとともに華やかさをそえます。なお、レイは輪になったものが主流ですが、妊娠中の人は赤ちゃんのへその緒に絡んでしまうという伝説があり、輪のレイはしないそうです。そんな時にはオープンタイプのレイが用いられます。
レイを身に付けた人が街に溢れかえる5月1日の「レイ・デー」
特別な行事やイベントが行われる日は、レイを身に付けている人を見かけることは珍しくありませんが、街がレイ一色に染まる日といえば、5月1日の「レイ・デー」をおいて他にはありません。これは「ハワイの伝統文化を讚える日」として1928年に制定されたもので、各地でレイ作りコンテストをはじめ、ハワイ文化をテーマにしたさまざまな記念行事が開催されます。そんな中でも、特に人気が高いのが、ホノルルで開かれる「レイ・デー・フェスティバル」。レイ作りコンテストやレイ・クイーンのお披露目、ハワイアン・バンドの演奏など、楽しい催しがカピオラニ公園を舞台に繰り広げられます。もちろんこの日は、花・貝・羽など思い思いのレイを身に付けた人々の姿を、街中で多く見かけることができます。
レイに使われる主な草花と、託された意味
ティ・リーフ
細長い形をした緑色の葉。心身を癒したり、邪気を払う力があるとされ、かつては僧侶たちが身に付けていたという。

ハラ
パンダナスという樹木になる山吹色の果実の房の部分。終わりと始まりを意味するとされ、退職や卒業の際に身に付けることが多い。

マウナ・ロア
薄紫色の小さな花。つぼみを使用するため長持ちすることでも知られ、かつては船旅に出かける時などに使用された。

プア・キカ
タバコのような細長い形をしているため、シガーフラワーとも呼ばれる。その形状からか、男性に贈られることが多い。

オハイ・アリィ
赤と黄色のゴージャスな花。19世紀に南米から伝わった植物だが、その美しさゆえか、晴れの場で女性に贈られることが多い。

イリマ           
ハイビスカスの仲間とされる小さな黄金色の花。かつては王族にしか使用が許されていなかったこともあり、現在もフォーマルなレイとされている。

マイレ
キョウチクトウ科のつる植物。香りが高い高貴な植物とされ、結婚式などのセレモニーで男性が身に付けることが多い。フラに使うレイとしてもポピュラー。

ピカケ
開ききっていない小さな花をビーズのようにつなげてレイに使う。プリンセス・カイウラニが愛した花として知られ、結婚式の時に花嫁が身に付けることが多い。

オヒア・レフア
濃厚な香りのする花。ペレ神話とも関係が深く、ハワイ島の伝統的な儀式の際には欠かせない花としても知られている。
(写真左から)
ティ・リーフを使ったもの、
オハイ・アリィ、
マイレ、
オヒア・レフアを使ったハク
ハワイのそれぞれの島を代表するレイ
オアフ島=イリマ マウイ島=ロケラニ
かつては王族しか身に付けることが許されていなかったとされる黄金色の花、イリマを使ったレイ。 マウイ島のシンボル・フラワーは、天国のバラとも呼ばれるピンクの小さなバラ、ロケラニを使ったレイ。
ビッグ・アイランド(ハワイ島)=オヒア・レフア カウアイ島=モキハナ
ビッグ・アイランドでの伝統儀式にはオヒア・レフアの花が用いられることが多い。キラウエアのフラ儀式の後に火口に投げ込まれるのもオヒア・レフアのレイ。 カウアイ島のシンボル・フラワーとされている花。レイの素材には香りのいい果実を使い、糸を通してビーズの首飾りのように仕上げる。
モロカイ島=ククイ ラナイ島=カウナオア
かつては薬や燃料として使われていたククイの実、葉、白い小さな花を一緒に編み込んで作ったレイ。ククイはハワイ州の州花でもある。 ラナイ島のシンボル・フラワーとされている植物。レイには黄色いつるをひねって綱状にしたものを使う。他の花と組み合わせて作られることも多い。
手作りのレイは、感謝の気持ちを込めて自然にかえす
ハワイの人々は大切なフラを踊るとき、自ら作ったレイやハクを身につけます。フラの大会などの前には山に登り、神に祈りを捧げ、そして必要な分だけ花や葉を摘んでレイやハクなどを作るのだそうです。大会が終わった後も、花を編む時に使用した糸や紐などを丁寧にはずし、必ず自然にかえすのだとか。自然に対する尊敬と感謝を忘れないアロハ・スピリットが、こうしたところにも生きているのです。